備忘録

あかし

「交際契約を締結する理由」がわからなかった過去の自分へ

 

 

 

 

いま私には交際して1年になる相手(以下M)がいて、その相手との関係を続けてきたなかで出た過去の自分に対する現時点でのアンサーをここに記しておく。

 

 

 

10代後半からMとの関係が半年過ぎる22歳くらいまでの私は、「相手への恋愛感情は交際欲求につながる」「両思い同士ならば交際に至る」という広く認識されたそれらを理解できず非常に困惑していた。

 

(そもそも「好き」と呼ばれる感情はいったいどういうものなのか、Mに対する感情は好きと呼ばれるものなのか、みたいなところでまず詰まっていたのだけれど。)

 

 

 

どうして恋愛感情と交際が必ずと言っていいほどセットにされているのかそもそも恋愛感情とはなんなのか確信的な答えを得られずにムシャクシャしていた21歳の春私はMと知り合い、数ヶ月後交際関係がスタートした。

 

 

 

自分の中になんとなく他の友人への感情とMへの感情が違う性質らしいということは自分も気がついていたのと、あとは交際申込みをしてくれたMに「月1で関係に向き合う日を設けたい」と申し出たところMが了承してくれたから、それならひとまず付き合ってみようかとなったのだ。

 

(ちなみに “ひとまず” で始まったことをMは知っている。)

 

 

 

 

 

 

 

で、本題だが、

 

交際契約を締結するのは単なる友達や知り合い以外の関係を構築したいと願うからというのが今の私のアンサーだ。

 

逆に言えば、両思いであれ何であれ、関係契約の締結無しに成立する関係と同じでよいのであれば締結の必要はないと考えている。

 

 

 

では単なる友達や知り合い以外の関係とはいったいどういうものなのか。

 

それは互いに意図的に、長い時間を割いてでも「時を経て変化し続ける関係を良好に保つため努力をし誠意を尽くす」関係である。交際申込みとは、そういうニュアンスを含んだ関係になることを了承し合う行為でもあると考える。

 

 

 

だから、将来的に自分がもしそれを出来なくなったのであれば感情の有無は抜きに交際関係である必要はもうないし、交際申込みの時点において好きだけどそういう関係になりたいと思わないのであれば申し込まないか断るかすればいいと進言する。

 

 

 

 

 

ここまでが本題で、以下は余談に入る。

 

 

 

 

 

Mは口数も少なくLINEも面倒でリアクションも薄い自分のことは話さないというような人だ。

 

過去に何度か「あなたの返事は話が広がらない」と不満を示したこともある。

 

 

 

つい先日も「私に対し興味がないから全然会話が為されずにいて、あなたにとって他の人のところへ行ってほしくないという意思表明にしかこの関係が用いられていないのであればもう付き合っている意味はないのではないか」と話したばかりである。

 

それに対してMは「愛情表現がたりてないとかLINEの内容がたりてないとかそういうこと?」と問うてきたが、当然そういう話ではない。

 

(「他の人のところへ行ってほしくないという意思表明」云々というのは、付き合い始めの頃にどうして付き合いたいと思うのか告白をするのか質問した時に返ってきた答えのひとつである。)

 

 

 

昨年5月に交際が始まった私たちは8月から緊急帰国する今年3月まで国際遠距離の関係だった。緊急帰国から数日後に1度は会ったのだが、それ以来私たちはずっと顔を合わせていない。Mは大家族なので通話も殆ど無い。

 

 

 

そんなどうしようもない生活の中で、例えば月が綺麗だったとき「写真ではうまく撮れなかったけど今日の月すごく綺麗だったよ」と話すとか「コンビニに行ったら中学の時の同級生に会った」と話すとか、そういう「会ってたら話してただろうな、隣にいてたら一緒にしたかったな」というようなことを文字にして相手に伝えることで自分から相手への感情を表現することを私は欲していたのである。

 

 

 

つまり、もっとLINEを返してほしいとか好きと言ってほしいとか、そんな形だけの話ではなかったのだ。

 

 

 

勿論「私のこの話の内容をあなたがそういう言葉でまとめるのならそうなのでしょう」という形で、一応やんわりとした否定はしたつもりである。伝わっているかはわからないが。

 

 

 

たとえそれが伝えられていなかったとしても、今回の件以降MからのLINEの内容に不満を抱くことはなくなったし、自分の申し出や不満や怒りを最後まで聞いてくれて、どうしてほしいと思っているのかとか私の発言の間違えていることとかを伝えてくれるのがMの素敵なところで好きなところだ。

 

 

 

本題で述べた「交際関係」云々の話はあくまでも私の価値観であり、Mにそれを伝えたことはあれどMにとっての交際関係とはどのようなものかを聞いたことはない。話したいときには話してくれる人だと思っているから敢えて質問はしない。

 

私にとっての交際関係の説明を否定しないことがMにとってのそれも同じであるということには繋がらないし全く同じ価値観を持っているわけがないので、私たちには他の人たちと同じようにこれからもきっとたくさんの出来事が起こるはずだ。

 

それらにひとつひとつ丁寧に向き合い、対話をし時を重ねていくことが長い関係に繋がると信じている。

 

 

 

2020.5.10